結婚することの意味とは?
家族の形成、子育て環境の基盤作り、夫婦二人三脚、経済的安定性、周囲に対する世間体、個人の自己実現願望など、簡単に思いつくだけでも結婚には多様な意味があり、そして人生における大きな意味があると考えることは普通である。
一般的考えて、個人がただ自分独りだけで人生を過ごしたいと考えることは非常に稀であり、例えば多くの人は結婚をして家族を形成し、心安らぐ人間関係の下に生きていきたいと考えるであろう。実際、国立社会保障・人口問題研究所(1997)によると、結婚の意思がない未婚者の割合は極僅かで(男性6.3%、女性4.9%)であるのに対し、結婚したい意志を持つ未婚者の割合は男性85.9%、女性89.1%と高い数値であることが分かっている(永田夏来 2002, p.214)。また、総務省統計局(2005)によると、15歳以上人口において、有配偶率は男性60.8%、女性57.0%と、平均して6割弱と、結婚は多数派であることが分かる。このように、多くの個人が結婚を望み、そして実際に結婚をするということは、多くの個人は結婚することに対して、人生における大きな恩恵があると捉えていることの証拠ではないだろうか。それらは例えば、冒頭で述べたように、家族の形成や経済的安定性、または自己実現願望なのかもしれない。端的にまとめれば、結婚することには、人生における個人の幸福度を、その実現可能性は一旦排除して、最大限に高めることができるという意味があるのではないだろうか。
しかしながら、ここまで考えてきたことはあくまで個人の幸福度に焦点を当てて考えた結婚の意味である。ここからは先は少し視点を変えて、キリスト教的視点でも結婚の意味を考えてみたい。イエスの言葉によると、「人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから二人はもはや別のものではなく、一体である。」(マルコ福音書10章:7〜8)という。ここにおいて、キリスト教的に結婚の意味を見ると、男女の深い愛の実現ということになるのではないだろうか。末井昭(2017)は、一体ということを心が一体になると説明し、それは全ての人に対しては起こり得ないが、夫婦の間には起こり得るとし、一体とは夫婦間において心の内面全体を互いに統合し、そして得られる最上の愛と伝えている。言い換えれば、キリスト教的見方において、結婚することの意味は真実の愛を実現することであると言える。
最後に、社会・経済的な観点からも結婚することの意味を考えたい。牧野カツコ・山根真理(2003, p.8)によると、結婚制度の背景には、戦後経済の発展を支える性役割分業の土台を確立するために、近代家族イデオロギーを一般に普及させるための社会的、経済的な背景があったとする。言うまでもないが、国の経済発展に人口は欠かせない要因であり、男性と女性の肉体的性関係は人口増加に直接寄与するものである。従って、経済的な背景を持って、倫理的な観点において一般化を可能とするために、結婚することには社会的に公認された性関係であるという意味を与えたのではないかと考える。牧野カツコ・山根真理(2003, p.10)は、結婚の意義は社会的に承認された性関係にあるとも述べている。
参考文献
・永田夏来(2002)「夫婦関係にみる「結婚」の意味づけ」,『年報社会学論集』 2002巻, 第15号, pp.214-225.
・国立社会保障 ・人口問題研究所1997『 第11回 出生動向基本調査 結婚 と出産に関する全国調査』.
・末井昭(2017)「『聖書』創世記の一文に記された結婚の意味とは」https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1827(最終閲覧日:2023年11月15日)
・総務省統計局(2005)「配偶関係」https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/03.html(最終閲覧日:2023年11月15日)
・創世記マルコ福音書10章:7~8
・牧野カツコ・山根真理(2003)「現代社会における結婚の意味とはなにか」,『家族社会学研究』 14巻, 第2号, pp.7-12.
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